イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

助教

松井 康平

まつい こうへい

所属
工学研究院
宇宙システム工学研究系
プロフィール
2020
博士(工学)
東京大学大学院
2020
東京大学
大学院工学研究科
航空宇宙工学
博士後期課程修了
2016
東京大学
大学院工学研究科
航空宇宙工学
修士課程修了

学生時代に宇宙開発に携わる仕事がしたいと思いました。そのときに、ロケットの重量のうち90%以上は推進剤(燃料と酸化剤)を占めており、現代までその割合はほとんど変わっていないということを知りました。そこで新たなロケットを研究開発したいと思い、宇宙推進工学の研究の道に進むことを決めました。

新たなロケット技術の研究

● 研究テーマ

  • ❖ レーザ推進
  • ❖ 固体ロケットのレーザ点火
  • ❖ ハイブリッドロケット

● 研究分野

  • 航空宇宙工学、流体工学、プラズマ科学

● キーワード

  • レーザ推進、レーザ点火、ロケット工学

● 実施中の研究概要

 現在の打ち上げロケットは、機体に搭載した推進剤を噴射して推進しています。それとは全く異なった、機体にレーザを照射して推力を獲得する、地上打ち上げ用レーザ推進について研究しています。これは地上からレーザを照射し、機体に搭載されているミラーによってレーザを集光し、プラズマと衝撃波を生成することで推力を獲得します。主に大気を推進剤として使用するので、原理的に推進剤が不要になり、現代のロケットと比較してペイロード比(機体重量に対する人工衛星などの積荷の比)が格段に向上します。しかしレーザによるプラズマや衝撃波の生成過程に関しては未解明な部分が多く、推進システムを設計するために推力生成過程の解明を目指して研究しています。
 固体ロケットのレーザ点火の研究にも取り組んでいます。現在の固体ロケットは主に抵抗線に電気を流して発生するジュール熱によって点火薬を点火します。電気によって点火を行うため、静電気、RF、雷などの電気的外乱による誤着火が起こる危険性を孕んでいます。そこでレーザ光によって点火する手法を提案し、研究しています。レーザ光に代替することで電気的外乱に対して不感にすることができ、本質的に安全な点火システムを実現することができます。
 具体的な研究内容としては、レーザパワーや照射時間をパラメータとして着火/不着火の閾値を明らかにするUp and Down法による着火限界の評価、深宇宙を模擬した環境(低圧、低温)での着火特性の評価、数値計算による着火現象の再現などを行っています。宇宙機だけではなく、汎用的なレーザ着火システムの実現のために、火薬のレーザ着火現象の解明を目指しています。
 その他にもハイブリッドロケットシステムの研究も行っています。固体燃料と液体/気体酸化剤を用いたロケットで、推進剤の自発的混合が発生せず本質的に安全なロケットです。将来のハイブリッドロケットによる有人宇宙輸送実現を目指して、制御システムや要素技術の開発研究を行っています。

● 特徴ある実験機器、設備

  • 高速度カメラ(Nac, Q2m)

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

  • 【共同研究】
  •  ①低温環境下における点火装薬(B/KNO3)のレーザ点火特性の取得(2024)
  •  ②低温環境下における点火装薬(B/KNO3)のレーザ点火特性の取得(2023)
  •  ③低温環境下におけるボロン硝酸カリウム火薬のレーザ点火に関する研究(2021)

● 関連リンク先

❖ より詳しい研究者データ