生体機械工学の技術で
病気・怪我から身体をプロテクト
医用生体工学・生体材料学、機械材料・材料力学
生体力学、動脈、動脈硬化、コンピュータ・シミュレーション
当研究室では、病気やけがのうち力や変形が関係し、同時にそれを調節すれば、治療や予防に役に立つような事例を研究の対象として、治療や診断、予防の技術の進歩を目指しています。
この研究は、主として動脈硬化が起こりやすい頸動脈で、実際の血管を使った実験データを基にして緻密な有限要素解析を行い、実験ではわからない血管内部の力や変形の状態を調べ、病理学の分析結果と比較することで、動脈硬化が進行する要因を追究し、それを軽減する方法を検討しています。
なお、この研究の特色は、実験から解析までを一貫して行うことで提供する情報の信頼性を高められるところにあります。
将来、動脈硬化の進行度合いの判断やステントの開発に役立つと考えています。
現在の進捗は、基礎研究段階の3合目程度です。
本研究室で学ぶ学生は、機械工学で学んだ知識を工業の分野だけでなく、医療の分野に応用する上での基礎的素養を身につけることができます。
生体の組織や細胞の置かれた環境を薬で化学的に調節するのではなく、力を巧みに調節することで、病気の進行を抑えたり予防したりする方法を提示したいと考えています。また、研究の知見を活かして、病気の進行を抑えたり予防したりする製品を設計したいと考えています。
① 共焦点走査型レーザー顕微鏡(注1)
② 顕微鏡ステージトップ細胞伸展装置
③ 顕微鏡ステージトップマルチガスインキュベータ
④ 血管内圧負荷・力学試験機
⑤ 低荷重引張り・圧縮材料試験機
(注1) 高解像度で三次元情報を取得できる顕微鏡。像情報を細かいポイント毎に取得して、コンピュータで全体を再構成する。厚みのある試料でも鮮明な像が得られる。
❖褥瘡(じょくそう、「床ずれ」)の遅延と予防のための生体力学的研究
医用生体工学・生体材料学、機械材料・材料力学
生体力学、褥瘡、細胞、環境制御、コンピュータ・シミュレーション
もう一つ研究は、褥瘡を遅延するための細胞を用いた研究です。
長時間の圧迫による組織の壊死は、力・変形、組織液成分、酸素濃度の3つの要因が関与していると考え、これらを変化させた環境を細胞に直接与えて細胞の変化を測定しています。
今までの研究で、栄養欠乏状態でも温度を10℃下げると細胞の機能維持時間が飛躍的に伸びることを突き止めました。
各種測定結果を基にして、褥瘡遅延のための用具を開発し、褥瘡に苦しむ多くの患者さんの苦痛の軽減に寄与したいと考えています。現在の進捗は、基礎研究段階1合目程度です。
http://fais.ksrp.or.jp/05kenkyusha/srchresult.asp?ID=h-yamada01