イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

生命体工学研究科

教授

安田 隆

やすだ たかし

所属
生命体工学研究科
生体機能応用工学専攻
プロフィール
1965生まれ
1994
博士(工学)
東京大学
1994
東京大学大学院
工学系研究科機械工学専攻
第1種博士課程修了
1991
東京大学大学院
工学系研究科機械工学専攻
修士課程修了

 大学院修士課程時代にMEMS(微小電気機械システム)技術と出会い、当初は昆虫に学ぶ微小ロボットの実現を夢見て研究に没頭しました。その後、人の役に立つ研究をしたくなり、MEMSをバイオに応用する研究に着手しましたが、独自に研究を進める過程で、バイオを専門とする研究者や企業人との出会いが、現在の研究テーマにつながりました。

より詳しい研究者情報へ

マイクロ・ナノをバイオに活かすモノ創り

● 研究テーマ

  • ❖バイオMEMSによる微量生体試料の操作・刺激・計測

● 分野

マイクロ・ナノデバイス
医用生体工学・生体材料学
ナノ材料・ナノバイオサイエンス

● キーワード

マイクロマシン、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)、マイクロ・ナノ加工、マイクロ流体デバイス、バイオデバイス、バイオセンサ、細胞刺激計測、電気化学計測

● 実施中の研究概要

MEMS技術を利用して、微小な流路やバルブ、電極などを数cm角の基板上に形成し、その基板上で微量液体の操作や培養細胞の刺激計測、生体分子の計測等を行っています。具体的には、表面張力や静電気力を巧みに利用して微量液滴を輸送・計量・混合するデバイス、1μm(マイクロメートル、10-6m)以下の微小孔を通じて培養細胞に対して局所的な薬剤刺激を行うデバイス、誘電泳動を利用して微量血液から血漿のみを効率的に抽出するデバイス、DNA分解酵素やグルタミン酸などの生体分子を電気化学的に計測するデバイスなどを実現します。
本研究は、医療における診断・検査デバイスや創薬における分析デバイスなどに広く応用が可能です。このような分野への応用を図るには、操作性が良く安価なデバイスの構築が不可欠です。本技術は、その実現のために、デバイスだけでなくその周辺機器をも含めた総合的なシステムの操作性向上とコスト低減を図ることが可能な点に強みがあると思います。

● 今後進めたい研究

本研究を二つの方向に発展させたいと思います。一つは、デバイスの実用化により、人の生命に係わる領域で大きく貢献することです。もう一つは、本研究により創出したデバイスを科学的な真理探究分野に応用することにより、世紀の大発見につながる成果を得ることです。

● 特徴ある実験機器、設備

①半導体加工設備
クリーンルーム、スパッタリング装置、抵抗加熱蒸着装置、電子線蒸着装置、両面マスクアライナ、プラズマエッチング装置、集束イオンビーム装置、ランプ加熱装置、ドラフトチャンバー、ワイヤボンダ

②細胞培養設備
クリーンブース、CO2インキュベーター、遠心分離機、オートクレーブ、乾熱滅菌機、培養倒立顕微鏡

③その他設備
金属顕微鏡、実体顕微鏡、蛍光倒立顕微鏡、蛍光実体顕微鏡、CCDマイクロスコープ、電気化学アナライザー

● 知的財産権(技術シーズ)

▶Microvolume Liquid Dispensing Device
 (米国12/312,754)
▶微量液体分取デバイス(特願2009-171212)
▶微量液体分取デバイス
 (PCT/JP2007/072868、WO 2008/066049 A1)
▶微量液体分取デバイス
 (特願2006-318948、特開2008-132410)
▶マイクロ流体酵素センサ(特願2006-5358)
▶疎水面を利用した微量液滴輸送デバイス
 (特願2004-150878、特開2005-331410)
▶電気的制御可能な微量液滴輸送デバイス
 (特願2004-071607、特開2005-257569、特許第4385124号)
▶薬液放出制御用マイクロ液体デバイスおよびその製造方法
 (特願2004-13641、特開2005-204837)
▶マイクロ液滴輸送デバイス
 (特願2003-164644、特開2005-744)
▶触覚センサ、触覚センサユニット、触覚センサの使用方法、触覚センサユニットの使用方法、及び触覚センサユニットの製造方法
 (特願2001-032024号、特開2002-236059、特許第3472827号)
▶流速センサ素子、流速センサ、流速センサ素子の製造方法、流速センサの製造方法、及び流速計測方法
 (特願2001-028593号、特開2002-228677、特許第3433227号)
▶静電アクチュエータ、その製造方法及び駆動システム
 (特願1997-11513、特開1998-209527)

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

▶2009年度 『薬剤添加用微小孔を有する細胞刺激デバイスの開発』
 (独)科学技術振興機構、シーズ発掘試験、研究代表者
▶2008年度『薬剤添加用ナノホールによる細胞刺激技術』
 福岡ナノテク推進会議、ナノテク産業化促進事業(実用化研究枠)、研究分担者
▶2007-2011年度『高性能バイオマーカーセンシング技術の研究開発』
 文部科学省、知的クラスター創成事業(第II期)、研究分担者
▶2007年度 『チューブ接続が不要な微量液体秤量混合デバイスの開発』
 (独)科学技術振興機構、シーズ発掘試験、研究代表者
▶2006-2007年度 『超小型一体化高機能部材微細加工技術(ケアMEMS)の研究開発』
 経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業(地域ものづくり革新枠)、研究分担者
▶2002-2006年度 『バイオマイクロセンシング(健康システム)』
 文部科学省、知的クラスター創成事業、研究分担者
▶2002-2006年度 『ナノセンシングのための化学的計測制御技術の開発』
 農林水産省、ナノテクプロジェクト(通称)、研究代表者

● 研究室ホームページ

微量液体分注デバイスの原理図

細胞刺激デバイスの原理図

血漿抽出デバイスの原理図

●(公財)北九州産業学術推進機構研究者情報ページ

http://fais.ksrp.or.jp/05kenkyusha/srchresult.asp?ID=t-yasuda01