教授
まえだ としなり
微生物の面白い機能にハマり、この世界で学位を取り、現在に至りました。まだまだ知らないことを見つけていくことはもちろんのこと、ヒト・環境に優しい技術とは何なのか?自分に何ができるのか?前進しながら、考えています。
微生物機能でホワイトバイオテクノロジー
応用微生物 生物機能 環境技術、バイオプロセス
代謝改変、遺伝子改変、微生物機能の高度化
環境負荷低減化、エコフィッティング、汚泥減容微生物
大腸菌は水素を作ります。水素生成能の向上を計るため、大腸菌が持つ水素を消費する機構の破壊、水素生成経路の活性化(水素生成経路以外の基質を利用する代謝系を破壊)、水素生成に関る遺伝子群の活性化など、大腸菌に5つの細工を実施して、水素ガスの生成能力が向上した大腸菌株の作製に成功しました。その細菌は、ギ酸から親株よりも最大で141倍の水素生成率を示し、ギ酸1モルから水素1モルを生成する、理論値通りの水素生成能力を持っている事も分りました。さらに、グルコース(注1)からの水素生成でも、8つの細工を大腸菌に施して、親株よりも5倍の水素生成能を持った大腸菌株の構築に成功しました。
(注1)グルコースは、代表的な単糖の一つでブドウ糖の名で良く知られる。
現在の日本の排水処理は、活性汚泥によるものが大部分を占めています。しかしながら、この方法では多くの余剰汚泥が発生し、産業廃棄物としてその処理は、焼却処分と埋め立て処分が大部分を占めているのが実状です。特に埋め立て処分に関しては、埋立地の確保が困難になっており、処理コストも高騰してきている事から、汚泥の処分が切迫している状況です。この様な問題に対して、汚泥溶解菌を利用した環境負荷低減技術の構築を行っています。
当研究室では、「微生物の機能」を切口として、現在の標語ともなっている、環境・バイオ・遺伝子改変と云った問題を取り扱っており、この研究は、燃料電池・酵素進化・汚泥処理等多岐に渡っての産業的応用・用途が期待されるものです。研究段階的に観ると、コンセプトは出来上がり、セオリーを確立しつつある段階です。
例えば、微生物エンジン型の燃料電池の様な微生物によって取り出せるエネルギーを作り出す研究
現在、恩師の尾川博昭教授の研究室で研究を進めており、嫌気性インキュベーター(嫌気性菌の培養装置、写真)や回転数10万rpmの超高速遠心分離機などがあります。
『新規細菌株及びその用途』(特開2004-254505)
爆薬として知られているトリニトロトルエン(TNT)を分解する能力が、従来の細菌株に比べ、10倍ある新規細菌株を発見しました。
生産量が1000トン/年に達し、高い毒性を持つTNTを効果的に分解する手段として期待される研究です。
▶TNT火薬製造廃液の処理方法
【論文】
▶『旧弾薬庫跡地土壌における2、4、6-トリニトロトルエン生分解微生物のスクリーニング』
日本環境化学会/環境科学13/3、695-704 (2003)
▶『シュードモナス属細菌TM15株による2、4、6-トリニトロトルエン生分解に関する研究』
Science & Technology of Energetic Materials 65/3, 94-96 (2004)
その他26編
http://fais.ksrp.or.jp/05kenkyusha/srchresult.asp?ID=t-maeda01
https://www.kyutech.ac.jp/kyutechlab/maeda.html