イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

生命体工学研究科

准教授

藤井 勇介

ふじい ゆうすけ

所属
生命体工学研究科
生体機能応用工学専攻
プロフィール
2020
博士(工学)
静岡大学
2020
静岡大学
創造科学技術大学院
環境・エネルギーシステム専攻
博士後期課程修了
2017
静岡大学大学院
総合科学技術研究科
工学専攻機械工学コース
修士課程修了

研究室配属後に初めて参加した研究会にて、先生方の莫大な知識量を見て「自分もこのような研究者になり、好きなことを続けながら社会に貢献したい」と思ったことが研究者のきっかけです。研究は困難が多いですが、提案したモータを製作し、実験で目標を達成した時の喜びは何事にも代え難いものです。研究室一同で困難・挑戦・達成感を分かち合いましょう。

用途指向形モータシステムの創造:
ベアリングレスモータ・多機能モータ

● 研究テーマ

  • ❖ベアリングレスモータの超高出力密度化(高速・高出力)と駆動システムの簡素化
  • ❖電流制御自由度の拡張によるモータのトルク向上および低振動・低騒音化

● 分野

電気機器、電力変換、メカトロニクス

● キーワード

多機能モータ、磁気浮上式ベアリングレスモータ、パワーメカトロニクス

● 実施中の研究概要

 モータは、電気エネルギーを機械出力に変換する電気機器であり、家電(エアコン・掃除機・洗濯機)、自動車、鉄道、工場などの身の回りの多くで使用されています。モータ性能は、環境負荷に直結するため、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、モータの高効率化・高性能化は重要な課題です。
【多機能モータ】 一般的なモータは、三相インバータ1台で駆動されます。当研究室では、三相インバータを複数台使用(多重化)または相数の増加(多相化)により、高効率駆動に加えて、トルク性能向上および低振動・低騒音化という機能を付加します。具体的には、三重三相永久磁石モータ(三相インバータを3台使用)を研究しています。巻線構成の工夫と、三相巻線の組ごとに流す電流の位相差を調整することで、平均トルクの増加とトルクリプルの最小化(リプル1%以下)、さらには低振動・低騒音化を同時に実現します。
【ベアリングレスモータ】 一般的なモータは、回転軸が転がり軸受(ベアリング)で「機械的」に支持されます。一般用途では問題になりませんが、超高速回転機やクリーン環境用途では、ベアリングの摩擦・摩耗による発熱・発塵が問題となります。これを解決するために、回転軸を電磁力により「非接触」で磁気支持する磁気軸受が研究開発されています。磁気浮上モータは、回転トルクを発生するモータユニットと,非接触支持機能を有する磁気軸受ユニットから構成されるため、合計2ユニットを使用します。そのため、軸長が長くなり、装置の大型化や、危険速度の低下という問題があります。
 そこで、モータと磁気軸受を同一の1ユニットに統合した「ベアリングレスモータ」が研究されています。統合されたことで軸長は短くなり、危険速度が高域になります(最高回転数の増加)。しかしながら、実用化されているベアリングレスモータの用途は、数十W~数百W程度の補助人工心臓用ポンプ、半導体製造用ポンプなどの「非接触支持によるクリーン性」に重点を置くものであり、本来の長所である「高速回転に適した構造」に重点を置いた用途では、実用化されていないのが現状です。
 この状況を打破するために、大容量燃料電池向け電動コンプレッサを対象とした「ベアリングレスモータの超高出力密度化20kW/kg」(回転数8万rpm、 80kW出力時)を研究しています。このkW/kgとは、単位質量当たりにどれくらいの出力をするかという小形軽量・高出力化の指標です(自動車駆動用モータで2~3kW/kg)。ベアリングを用いたモータでは達成することが困難であり、モータ種別問わず、非常に有益かつ挑戦的な目標です。上記の研究を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。

● 今後進めたい研究

 モータは100年以上前に発明されており、しばしば「モータは成熟した技術」と呼ばれています。強力なネオジム磁石の登場と、インバータ駆動によるモータベクトル制御が相まって、モータの高性能化に拍車がかかりました。しかし、要素技術(磁石・巻線・電磁鋼板・工程)の発展が飽和しつつあり、モータ単体、インバータ単体の効率・出力密度の向上は限界に近づいています。したがって、将来を見据えて以下の研究を大学で進めることに意義があると思います。
〇用途指向形モータとして追加の機能を付加する
・多重多相巻線による電流制御自由度の拡張を活用し、冗長性に加えて、トルク向上・低振動低騒音化・偏心のリアルタイム推定
〇モータと電力変換器の協調制御による多機能システムの創出
・出力に寄与していないモータの空間高調波を活用し、電力変換器の効率改善、昇降圧機能の付加、有効電力無効電力の調整
・モータ巻線を、「モータ駆動」と「急速充電用インダクタ」兼用として活用

● 特徴ある実験機器、設備

〇実機:5軸制御形ベアリングレスモータにおける零相電流を用いたスラスト磁気支持
→ スラスト支持用の三相インバータ1台が不要
〇実機:2軸制御コンシクエントポール形ベアリングレス単相モータ
→ 「駆動回路の簡素化」と「磁気支持の回転角度検出不要」を同時達成
〇実機:1軸制御形ベアリングレスモータの高出力化
→ 1軸制御において、世界トップレベルの1kW出力を目標

● 知的財産権(技術シーズ)

〇磁気軸受システム、圧縮機、及び冷凍装置(特願2023-183995,特開2024-122848)

● 関連リンク先

❖ より詳しい研究者データ

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/100001925_ja.html