イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

生命体工学研究科

教授

古川 徹生

ふるかわ てつお

所属
生命体工学研究科
人間知能システム工学専攻
プロフィール
1963
生まれ
1998
博士(工学)
大阪大学大学院
1989
大阪大学大学院
基礎工学研究科物理系
専攻前期課程修了

人間の知能という高度で複雑なものがどのように生み出されるのか、その原理を数理モデルを通じて解き明かしたい、それを通して知能の本質を深く理解したいというのが研究の動機です。また、多様な人々の多様な生き方に寄り添う知的システムを実現することで社会に貢献したいという思いが、もうひとつの研究の動機です。

多様性から普遍性を学ぶ知能の究明、普遍性から多様性に寄り添う知能システムの開発

● 研究テーマ

  • ❖多様なモデル集合を生成するメタモデル学習の研究
  • ❖ダイナミクスのメタモデル学習による行動生成と環境理解の研究
  • ❖複雑な構造を持つビッグデータから知識を引き出すための対話的データ分析システム開発の研究
  • ❖人々の多様な感性、嗜好、生活を学習し支援する知的システムの研究

● 分野

知能情報学、感性情報学、ソフトコンピューティング、認知モデル

● キーワード

メタ学習、マルチダイナミクス学習、行動生成と意図推定、対話的データ可視化と知識発見、複雑ビッグデータ解析、感性と嗜好解析、社会共創知支援

● 実施中の研究概要

①多様なモデル集合を生成するメタモデル学習の研究

異なる種類のデータから学習した「モデルの集合」を統合し、一つの包括的な「メタモデル」の学習方法とその理論を研究をしています。このメタモデルにより、新しいデータが入ってきたときに、最適なモデルを迅速に見つけ出すことができます。さらに、このメタモデルは、まだ存在しない新しい種類のデータモデルも生み出すことができます。この研究の特長は、多様性のなかから普遍性を見出すことで、さまざまなデータや状況に柔軟に対応できる能力にあります。

②ダイナミクスのメタモデル学習によるエージェントの行動生成の研究

この研究では、環境や状況に応じてさまざまな行動を生成できるエージェント(例えば知能ロボット)の知能を作ることに取り組んでいます。これは、予測や状況認識のための「自由エネルギー原理」という知能原理を、メタモデル学習で実装することに基づいています。目標は、エージェントが周囲の環境を能動的に理解し、それに合った行動が受動的に選択されるようにすることです。

③複雑な構造を持つビッグデータから知識を引き出すための対話的データ分析システム開発の研究

この研究では、大量のデータの中から関連性やパターンを探し出すための、対話的で視覚的なツールを開発しています。このツール「テンソルキューブ」を使うと、ユーザーは直感的にデータを探索し、新しい発見をすることができます。特に、様々な人々が様々な物事に対して持つ感覚や好みの分析に優れており、データを基にした意思決定のサポートを目指しています。

研究紹介1_自動車インパネデザインのマーケティングデータ可視化

研究紹介2_バスケットボールのチーム編成支援

● 今後進めたい研究

①メタモデル学習による知能エージェントのコミュニケーション創発

メタモデル学習を知能エージェントに応用し、環境や文脈の推定、相手の意図の推定、そしてコミュニケーションの創発に関する研究を進めます。

②テンソルキューブを活用した社会的課題へのデータサイエンスの応用

多様な人々が抱える多様な問題をデータを通じて可視化し、データサイエンスを活用して相互理解に基づく解決策の発見を目指します。このアプローチにより、より効果的な社会的な課題の解決に寄与することを目指しています。

● 知的財産権(技術シーズ)

▶情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、環境地図獲得装置及び適応制御装置
特願2007-296515
▶多様体自己組織化装置、多様体自己組織化方法、及び、多様体自己組織化プログラム
特開2008-250886
▶自己組織化マップを用いる装置、その方法及びプログラム
特開2007-164704

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

【共同研究①】「自己組織化マップ解析技術を用いた企画提案への活用」
(2015/7/20~2016/3/31、2016/6/24~2017/3/31)
【共同研究②】「ファッション領域を主とする大規模かつ複雑な関係データの多面的・直感的理解と活用を可能とする情報処理機械の開発と実用化」
(2018/7/1~2020/1/31、2020/3/1~2024/3/31)
【共同研究③】「人間情報データベースにおけるテンソルSOMの活用可能性の検証」
(2018/8/1~2019/3/31)

【受託研究(学術コンサル)①】「自己組織化マップのリコメンドシステムへの応用」
(2022/8/18~2022/11/17)
【受託研究②】「テンソルSOMによるモラルサーベイデータの分析」
(2014/12/10~2015/3/31)
【受託研究(学術コンサル)③】「トレーナーへの心理学教育とそのスポーツ塾での実践」
(2023/4/1~2024/3/31)

● 過去の論文や著書などの業績

・R. Watanabe, H. Ishibashi, T. Furukawa, "Visual analytics of set data for knowledge discovery and member selection support", Decision Support Systems, 2022.
・H. Ishibashi, K. Higa, T. Furukawa, "Multi-task manifold learning for small sample size datasets", Neurocomputing, 2022.
・T. Iwasaki, T. Furukawa, "Tensor SOM and tensor GTM: Nonlinear tensor analysis by topographic mappings", Neural Networks, 2016.

● 関連リンク先

❖ 研究室ホームページ

❖ より詳しい研究者データ

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/343_ja.html