イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

生命体工学研究科

教授

福永 淳

ふくなが すなお

所属
生命体工学研究科
教養教育院
プロフィール
2016
Ph.D., English: English language and literature, Department of English, College of Arts and Sciences, University of Washington, Seattle
2007
M.A., English: Teachers of English to Speakers of Other Languages, Department of English, College of Arts and Sciences, University of Washington, Seattle

修士課程で、英語教育における「ネイティブスピーカー」と「ノンネイティブスピーカー」の区別が、潜在的な優劣の関係(知らず知らずのうちに一部の人々を他の人々よりも優れたように見せかける状態)を生み出すことを学びました。それまで無批判に受け入れていた区別に、実は複雑な問題が潜んでいると知り、驚きました。当然とされている事柄に疑問を持つようになり、言語使用や言語教育の不平等に関する研究へと繋がっています。

言語教育の現在と未来:可能性を探る旅

● 研究テーマ

  • ❖質的研究手法による英語教育政策の研究
  • ❖マクロ・メゾ・ミクロレベルの言語教育政策と実践の分析
  • ❖テクノロジーを活用した英語学習指導

● 分野

外国語教育、言語政策、教育社会学

● キーワード

英語教育政策、言語とアイデンティティ、言語学習とテクノロジー

● 実施中の研究概要

①英語教育政策

 社会的、教育的、文化的文脈における言語使用とその影響に焦点を当てた応用言語学分野で言語政策の研究を行っています。日本の高校における英語教育政策の施行過程に注目し、政策立案者(政府など)、施行者(教育委員会など)、そして教室での実践者(教師と学習者)といった異なる関係者間の相互作用が、教育の公平性にどのように影響するかを探求しています。
 言語政策は、一般に公的文書に限定されると考えられがちですが、実際には日常的な言語の選択や使い方にも及びます。たとえば、日本語話者が相手に応じて方言や標準語を使い分ける行為や、言葉の使い方の良し悪しに関する個人的な判断も、言語政策の観点から分析することができます。また、複数の言語を使用する家庭での言語選択(どの言語を、いつ、誰が、どのように使うか)も、家庭内の言語政策と考えられ研究対象となります。
 言語政策分野では、公式言語の選定、多言語主義、マイノリティ言語の保護、言語計画など幅広いテーマを扱い、政策が個人やコミュニティに与える影響、言語アイデンティティ、言語権利についてなどが多角的に研究されています。私の研究では、言語教育政策が教育を通して個人の生活や広く社会に与える影響を明らかにし、より公平で多様性に富んだ言語教育環境の実現のために貢献したいと考えています。

②言語学習とテクノロジー

 STEM分野における学生向けの英語教授法を開発しています。取り組みの一環として、機械翻訳や生成AIを倫理的かつ効果的に活用し、研究成果を発表するためのライティングスキルの指導などを行っています。英語は事実上、科学技術分野の国際共通言語となっていますが、英語を第一言語としない研究者にとって、英語での論文執筆、共同研究、国際会議での発表などは、研究活動における大きな障壁となっているという報告があり、研究者のキャリアや成果に大きく影響する可能性があります。このような背景から、研究活動における言語的な不平等の解消に向けて、言語教育におけるテクノロジーの倫理的かつ効果的な利用を目指しています。

● 関連リンク先

❖ より詳しい研究者データ

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/100000907_ja.html